家の残クレと車の残クレは何が違う?返却できる?月々は安くなる?
「家も残クレで買える時代」と聞くと、車の残クレと同じように、月々が安くなって最後に返せる買い方を思い浮かべるかもしれません。しかし家の残クレ(正式には「残価設定型住宅ローン」)は、車の残クレとは仕組みがかなり違います。全体の仕組みは残価設定型住宅ローンとはの記事にまとめています。
この記事では、車と家の残クレを同じ表で並べて、「返却できるのか」「月々は本当に安くなるのか」「金利はどうなるのか」に答えます。
この記事の結論
- 1家の残クレは「最後に返す」前提ではない。家はずっと自分の名義で、返却の義務もない
- 2家の残クレには2つの型があり、JTI型は残価設定月まで月々がむしろ少し上がる(試算で+3,767円)
- 3どちらの型も、車と同じく残価にも利息がかかるので、総額は通常のローンより増える
この記事でわかること
- 車の残クレと家の残クレの違い(5項目の比較表)
- 家の残クレで「返却」にあたるもの
- 月々と総額の試算(4,000万円・35年)
- 家の残クレの金利
まず車の残クレのおさらい
車の残クレ(残価設定型クレジット)は、数年後の車の下取り価格(残価)を先に決めて、その分を最終回に回す買い方です。トヨタのサイトでは、支払期間は3〜5年が一般的と説明されています。
最終回には、次の3つから選びます。
- 新しい車に乗り換える
- 車を返す
- 残価を一括または再ローンで払って、車を買い取る
車を返すときは、走行距離や傷の状態が決められた条件を超えると、精算金がかかります。また、トヨタのサイトは「据え置いた残価分にも金利が発生します」と書いています。契約中の車の所有者はディーラー側です。

家の残クレと車の残クレを比べる
家の残クレには「JTI型」と「据置型(国の保険を使う型)」の2つがあります。車と並べるとこうなります。
車の残クレと家の残クレの違い
| 車の残クレ | 家:JTI型 | 家:据置型(国の保険) | |
|---|---|---|---|
| 期間 | 3〜5年が一般的 | 35年など通常の住宅ローンと同じ | 割賦部分は通常と同じ。残価部分は死亡時や売却時まで |
| 月々が下がる時期 | 最初から | 残価設定月以降、オプションを使ったとき | 最初から |
| 所有者 | 契約中はディーラー側 | 最初から自分 | 最初から自分 |
| 最後に返す(返却) | 選べる。条件外なら精算金 | 義務はない。買取オプションで手放すことはできる | 義務はない。売却して清算することはできる |
| 残価にかかる利息 | かかる | 残価という別枠はなく、全額に利息(金利+0.2%の例) | かかる(毎月利息だけ払う) |
| 状態による減額 | 走行距離・傷で精算金 | JTIが家ごとに価値を査定。災害で住めなくなると証明書は失効 | 売却額が残価に足りなくても、条件を満たせば請求されない |
車はトヨタ・TS CUBICの公式ページ、家はJTI公式ページと住宅金融支援機構の概要資料(令和8年3月)で確認(2026-10-25)
一番大きな違いは、家は「返却」が前提になっていないことです。車の残クレは、3〜5年後に返すか乗り換えるのが自然な流れです。家の残クレは、何もしなければふつうに住み続けます。
JTIも、よくある質問で車との違いを説明しています。要点は、車の残クレのように最初から返済額を減らすのではなく、一定期間のあとに返済額を減らしたり、買い取ってもらったりできる形にした、というものです。
家の残クレは「返却」できる?
家の残クレには、車の返却にあたる仕組みがあります。ただし、型によって中身が違います。
JTI型:買取オプション
JTI型では、ローンの残高がJTIの保証する残価まで減ったあと(残価設定月)に、オプションを使えます。新型リバースモーゲージ(元本の多くを死亡時に返す形のローン)に切り替えたあとは、家を売るときにローン残高と同じ金額でJTI等が買い取ります。家を手放せば、ローンは残りません。
車と違うのは、使うかどうかを自分で決められることです。楽天銀行は「義務ではなく『オプション』なので、行使しないこともできます」と書いています。家が高く売れそうなら、オプションを使わずに市場で売ることもできます。
据置型:売却で清算
据置型には、返却という手続きはありません。家を売って、残っている元金を返します。死亡後に売った場合と、割賦返済ローンを返し終わったあとに売った場合は、売った額が足りなくても差額を請求されません。この扱いを「ノンリコース」と呼びます。
ただし、据置型を扱う金融機関は、2026年9月30日時点で「なし」です。
数字で見る:月々は本当に安くなる?
同じ家を、通常のローン・据置型・JTI型で借りた場合を計算しました。式はこのサイトのシミュレーターと同じで、数字は例です。
月々と総額の比較(例)
| 月々 | 通常との差 | 途中・最後に残る借金 | 総額 | |
|---|---|---|---|---|
| 通常ローン | 112,914円 | — | 35年後に0 | 4,742.4万円 |
| 据置型 | 100,977円 | −11,937円 | 35年後に600万円 | 4,841.0万円(残債を現金で払った場合) |
| JTI型 | 116,681円 | +3,767円 | 20年目に2,037.4万円 | 4,900.6万円(35年返し切った場合) |
住宅価格4,000万円・頭金0・35年・元利均等・固定1.0%・ボーナスなし。据置型は残価15%(600万円)で残価部分も同じ金利と仮定。JTI型は金利1.2%、残価設定月を20年目と仮定
据置型は、車の残クレと同じく最初から月々が下がります。この例では約1.2万円です。そのかわり35年後に600万円の借金が残り、総額は約99万円増えます。
JTI型は、残価設定月までは月々がむしろ少し上がります。金利が0.2%上乗せされるからです。月々が下がるのは、20年目などの残価設定月に返済額軽減オプションを使ったあとです。この例では、利息だけで計算すると月20,374円になります。実際には、楽天銀行は建物の完成から50年までは少額の元本返済も続くと説明しています。
「残クレだから最初から安い」と思っていると、JTI型の説明を受けたときに話がかみ合いません。自分の条件で比べてみてください。
家の残クレの金利は?
家の残クレの金利は、その金融機関のふつうの住宅ローンの金利をもとに決まります。車の残クレの手数料率は、トヨタの例では販売店に問い合わせる案内になっています。家の場合は、住宅ローンの金利に何%上乗せされるかを見ます。
- JTI型:三菱UFJ銀行の資料では、通常の住宅ローン金利に年0.2%を上乗せします。全期間固定金利は対象外で、返済額軽減オプションを使ったあとは変動金利になります。
- 据置型:金利のタイプは金融機関が決めます。住宅金融支援機構の試算例では、割賦返済ローンを年1.0%、元金据置ローンを年2.0%と想定しています。残価部分の金利が高めになる可能性があります。
どちらも、変動金利なら将来の上昇の影響を受けます。上の例で6年目から金利が1%上がると、据置型の月々は120,294円、JTI型は133,885円になります。通常ローンは129,758円です。
楽天銀行と日本住宅ローンは、上乗せ幅を公表していません(2026-10-25確認)。見積もりで確かめてください。
家の残クレのメリットとデメリット
良い点
- 家は最初から自分の名義。返却の義務はない
- 据置型は最初から月々が下がる
- JTI型は、後半に月々を大きく下げるか、家を手放してローンを消すかを選べる
- 車のように走行距離や傷で精算金を取られる仕組みはない
注意点
- 車と同じく、総額は通常のローンより増える
- JTI型は残価設定月まで月々が少し高い
- 据置型は35年後にも借金が残る。2026年10月時点で扱う金融機関がない
- 使える家(長期優良住宅など)と建てる会社が限られる

向く人・向かない人
車の残クレで「数年ごとに乗り換えたい」人に向いていたのと同じ理屈は、家にはそのまま当てはまりません。
向く可能性がある人
- 20年後などに住み替えや売却をする可能性が高い人
- 定年後の返済が重くなるのを、早めに手当てしておきたい人
- 対象のハウスメーカーで長期優良住宅を建てる予定がある人
向かない可能性が高い人
- 「車の残クレのように、最初から月々を安くしたい」だけの人。JTI型では最初は下がりません
- 浮いた月々の分で、より高い家を買おうとしている人
- 家を子どもに残したい人
デメリットをもっと詳しく知りたい人は、次の記事も読んでください。
あわせて読みたい残価設定型住宅ローンのデメリット7つ|「やばい」と言われる理由と向かない人よくある質問
家の残クレでも、最後に家を返さないといけませんか?
いいえ。家は最初から自分の名義で、返す義務はありません。JTI型の買取オプションは、使うかどうかを自分で選べます。
家の残クレは、普通の家のローンより金利が高いですか?
JTI型は、三菱UFJ銀行の2023年の発表で通常の金利に年0.2%上乗せです(ほかの2社は非公表)。据置型は金融機関が決めますが、住宅金融支援機構の試算例では残価部分を年2.0%と想定しています。
車の残クレのように、家の状態で減額されますか?
車のような走行距離や傷による精算金の仕組みはありません。JTI型では、JTIが家ごとに価値を査定します。ただし災害で住めなくなった場合や、マイホーム借上げ制度以外で家を貸した場合は、オプションの証明書が失効します。
家の残クレは、車の残クレと同じでやばいのですか?
車の残クレと同じく、総額は増えます。一方で、返却前提ではない、家は自分の名義、という違いがあります。向かない人がはっきりしている商品なので、自分が当てはまるかを先に確かめてください。
まとめ
家の残クレと車の残クレは、名前は似ていても別のものです。家は最初から自分の名義で、返却の義務はありません。月々が下がるのは据置型だけで、JTI型は残価設定月まで月々が少し上がります。どちらも、総額は通常のローンより増えます。
「残クレ=最初から安い」と思い込まず、どちらの型の話かを最初に確かめてください。仕組みの全体は残価設定型住宅ローンとはで、自分の数字はシミュレーターで確かめられます。
あわせて読みたい残価設定型住宅ローンとは?仕組み・2つの型・使える条件をやさしく解説参考資料
参考にした一次資料
- トヨタ「残価設定ローン(残クレ)のメリット・デメリットは?」toyota.jp 確認日 2026.10.25
- TS CUBIC「残価設定型クレジット」tscubic.com 確認日 2026.10.25
- 移住・住みかえ支援機構「残価保証と残価設定型住宅ローンについて」jti.or.jp 確認日 2026.10.25
- 三菱UFJ銀行「『残価設定型住宅ローン』の取扱い開始について」(2023年3月31日)bk.mufg.jp 確認日 2026.10.25
- 楽天銀行「残価設定型住宅ローン」rakuten-bank.co.jp 確認日 2026.10.25
- 住宅金融支援機構「特定残価設定ローン保険の概要」(令和8年3月)jhf.go.jp 確認日 2026.10.25
- 住宅金融支援機構「特定残価設定ローン保険 取扱金融機関」(令和8年9月30日現在)jhf.go.jp 確認日 2026.10.25